東田直樹著 角川文庫 1300円+税

この著者の本は以前、あけぼの医療福祉センターの小澤先生が紹介されていた本の最新版です。私自身何年も前に自閉症児の療育に携わり毎日がわからないことだらけでした。今この本を読むと年齢は違えども当時の子供たちを少しわかったような感じがします。またこの本から学んだことが実際の障害受容をどのように行っていったかが当事者本人の気持ちがそのまま書かれていてその苦しみや気づきなど実際に私たちから目に見えない部分のことが多くありとても勉強になりました。障害をおうこととは、障害者とは、障害者として社会で生きてくこととはなど当事者でなければわからない内面が書かれています。
この本の一説でとても心に残ったものがあります。「僕は自閉症者としての内面を伝え続けていますが、これは自閉症者だけではなく、普通の人にも共通する思いではないかと、たくさんの方が感じ取ってくださっていることを知りました。生き辛さを抱えた人たちに共通するものとは何でしょう。それは、言葉にできないほど苦しい気持ちではないかと思っています。心の状態を表現することで、気持ちの不安定さの理由が理解できます。」このことは自閉症者だけでなく私たちが関わっている言語障害を抱えるすべての方に共通していると思います。患者様の本当の気持ちに寄り添うことの大切さ、そこから患者様の訴えをしっかり聞き取る重要さを再確認できました。