2016年08月25日

『自閉症の僕の七転び八起き』山梨厚生病院 言語聴覚士 山本雄太先生のこの一冊

『自閉症の僕の七転び八起き』
 東田直樹著 角川文庫 1300円+税
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 この著者の本は以前、あけぼの医療福祉センターの小澤先生が紹介されていた本の最新版です。私自身何年も前に自閉症児の療育に携わり毎日がわからないことだらけでした。今この本を読むと年齢は違えども当時の子供たちを少しわかったような感じがします。またこの本から学んだことが実際の障害受容をどのように行っていったかが当事者本人の気持ちがそのまま書かれていてその苦しみや気づきなど実際に私たちから目に見えない部分のことが多くありとても勉強になりました。障害をおうこととは、障害者とは、障害者として社会で生きてくこととはなど当事者でなければわからない内面が書かれています。
 この本の一説でとても心に残ったものがあります。「僕は自閉症者としての内面を伝え続けていますが、これは自閉症者だけではなく、普通の人にも共通する思いではないかと、たくさんの方が感じ取ってくださっていることを知りました。生き辛さを抱えた人たちに共通するものとは何でしょう。それは、言葉にできないほど苦しい気持ちではないかと思っています。心の状態を表現することで、気持ちの不安定さの理由が理解できます。」このことは自閉症者だけでなく私たちが関わっている言語障害を抱えるすべての方に共通していると思います。患者様の本当の気持ちに寄り添うことの大切さ、そこから患者様の訴えをしっかり聞き取る重要さを再確認できました。
posted by st_yamanashi at 20:12| Comment(0) | 書籍(その他) | 更新情報をチェックする

2015年09月27日

『ペコロスの母に会いに行く』 一宮温泉病院 倉島雪乃先生のこの一冊

『ペコロスの母に会いに行く』
岡野雄一 著 西日本新聞社 1,200円+税
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 柔らかいタッチの絵と優しい語り口で綴られるコミックエッセイです。本屋やテレビのCMなどで、目にした方も少なくないのではないでしょうか。
 老人ホームにいる認知症の母とその母に会いにいく息子の日常を、面白おかしくそしてちょっぴり切なく描かれています。
 私たちは仕事をしていく中で、認知症の方と接しています。考えてみると「やっかいだなぁ」「困ったなぁ」と思う人が多くいませんか。昔のことばかり何度も話す、急に怒り出す、あったことをすぐに忘れてしまう。そんな症状を「やっかい」だと切り捨てるのではなく、笑いを含めて 温かに見守ることの大切さを感じました。
 作中で作者の母は、亡くなった夫や過去の情景を、夢の中や現実の生活の一部として繰り返し見ています。実は私も、勤務中に似たようなことがありました。「うちでお父さんとお母さんが待ってるから早く帰ってご飯作ってあげなくちゃいけないの」と自宅に帰りたがる方。
 きっとこの人の中では生きているのです。生き生きと生活し、そして娘の帰りを待っていてくれているのです。
 このエッセイを通して、認知症の方の現実と過去の混ざり合った世界を垣間見ると、切なくも思うかもしれません。
 “認知症になるのも、悪くないのかも”と。
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2015年09月01日

『こころの旅』 巨摩共立病院 米長裕恵先生のこの一冊

『こころの旅』
神谷美恵子著 みすず書房 1,600円+税
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 私が悩んだり、迷ったりした時に、心のよりどころにして、いつも手にとる本があります。私の人生の指南書である『こころの旅』を紹介させていただきます。
 本書には、人のこころの旅路(胎児期~老年期)が丁寧に綴られています。学生時代のテキストの1冊でしたが、若い頃は「青年期とは苦しい模索の季節である」という言葉に何度も救われました。そして、最近は”老いの自覚”をひそかに感じて、本書を手にとりました。
 原稿は1973年から書かれ、当時と時代背景は変わっていますが、人間の本質・こころの旅路は、今も昔も変わらないことがわかります。「からだにとって空気や水や食物が必要なのと同様に、こころには生きるよろこびが必要であることは一生変わらない」と書かれています。各年代には、それぞれの課題と危機があり、それを上手く乗り越えられたときには、生きて行く上で大切な力が身にそなわるといいますが、そのヒントが書かれていると思います。
 自分自身のために、そしてSTとして臨床場面で接する病をかかえている人、子どもや老いた人のこころのあり方を理解するために、本書が役立つと思います。
 自分の興味・関心がある記述の部分から、読み進めることをお薦めいたします。
posted by st_yamanashi at 13:14| Comment(0) | 書籍(その他) | 更新情報をチェックする